こんにちはピヨヒコ

新都社で連載中。 作品の話とかどうでもいいこととか。

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『かくも遅咲き短編集・弐』の感想1

お久しぶりですピヨヒコです。
お前電極女はどうした、と言われるのを承知で、今回から数回に分けて文藝新都の企画『かくも遅咲き短編集』への感想を書かせていただこうと思います。

現在進行中の企画『かくも遅咲き短編集・弐』はこちら。
http://neetsha.jp/inside/comic.php?id=12841

今回は白い犬先生の作品について感想を。
考察も含めるので盛大にネタバレしております。未読の方は楽しみが減ってしまうと思われます。

以下感想。作品タイトルにリンク有り。著者名は敬称略。


『童話・鉄のハンスより〜ネット作家Yの苦悩』 (著者 白い犬)

 白い犬先生といえば、個人的に「技巧派パンクバンド」だと思っています。確かな基礎力に裏付けされた豪快さ。それは決して出し惜しみではなく、適切な選択をしたということになります。おそらく白い犬先生は語彙力が豊富と言われがちかと思いますが、それは自明として、豊富な語彙から作品に見合った言葉を抽出する力がとても強い。冒頭でパンクバンドと言ったけれど、白い犬先生はきっとジャズもできるしポップスもできるしボサノバもできるのだと思われます。新都社の小説書きさんの中でも大好きな先生です。

 さて、今作『童話・鉄のハンスより〜ネット作家Yの苦悩』ですが、こちらの作品は前半部が童話『鉄のハンス』をほぼ原典そのままに、後半新章鉄のハンスを白犬オリジナル(いわゆるアナザーストーリー)が展開するという構成になっております。
 ちなみに原典は、鉄のハンスが「わしは、鉄のハンスだ。魔法使いに山男の姿にされていたのが、そなたが立派に救い出してくれた。わしの持っている宝物を、すっかりそなたのものにするがいいぞ」というところで終わっています。

 新章鉄のハンスはファンタジー調な展開が面白く、悪い魔法使いが城を蹂躙するあたりは実に読み応えがあります。おいおいどーなっちゃうんだよ! っていうワクワク感があって、するする先へ読み進めてしまうのです。ここらへんの間合いというか進行は、やっぱこの人おもしれーな、と感心するほど。多少の誤字はありましたが、細けえことは良いんだよ! とスルーできるのはやはりお話自体が面白いからなのでしょう。

 さて。ここでちょっと考えてみましょう。原典、新章共に疑問がいくつか残ります。

【原典についての疑問】
・何故、鉄のハンスの魔法は解けたのか。
・何故、最後の最後にハンスは主人公へ富を与えようとするのか。

【新章についての疑問】
・「この優れた古典に唯一の疵として印象を残す一連の記述に、読者として少なからずの違和感を覚える」とはどの部分のことか。
・ラストの「ただの鉄のハンス」とは何者なのか。

 これらの疑問についてざっくりと考えると、ほとんどの問題を解決する万能薬が見つかりました。
 それは「3」という数字です。

 詳しくは知らんのですが童話、神話において「3」という数字は特別なものだそうです。
 原典鉄のハンスに登場する「3」はたくさんあります。3本足の馬、3回なげられたりんご、3回ハンスの名を呼ぶ。すこし無理やりかもしれませんが、金の泉での3回のミス、主人公の3回の廃棄(ハンスに与えられた軍隊をハンスに返す、王女に渡された金貨を子どもにやる、拾った3つのりんごを王へ返す)……このように「3」という数字が頻出するのです。
 ハンスの魔法が解けたのも、主人公が富の泉としてのハンスと関わった後に、3回富や名声を破棄するという儀式が成立したからではないでしょうか。また、原典ではハンスは泉に来た人等を泉に引きずり込んで「奪って」います。また、主人公により本来の姿を「与えられ」そのお返しとして自らの富を「与えて」います。ここでも3つの関係が成立していますね。原典はその3つの関係を成立させた上でオチをつけるために、最後の最後でハンスを出したのかも知れません。

 ここまでは原典についての考察ですが、そもそもこの「3」という数字に思い至ったのは、白い犬先生の新章に導かれたからなのです。

 新章鉄のハンスでは最後で「ただのハンス」が出てきます。これにより「森の鉄のハンス」と「城にいる悪い魔法使いの鉄のハンス」と「ただのハンス」による「3」が成立します。
 また、白い犬先生が作られた「3」の秀逸なところは、「富を『与えた』森のハンス」と「命を『奪った』悪い魔法使いのハンス」と「主人公に仲間とか一緒とかいう安心を『与えられた』ハンス」という、原典に則った「3」を使っている点なのです。
 なので、最後に出てきたハンスも本物のハンスです。あの新章には偽物ハンスは登場しておりません。全部本物。別の場所にハンスが同時に登場してたりしますが、そんなところを気にしていたらハンス魔法使えなくなるからいいの!

 なんて風に考えると、とんでもねえ事やってるな……と脱帽です。

 ただ、一箇所だけ気になったところもあります。
 それは、主人公が悪い魔法使いとしてのハンスを説得した回数が「3回じゃなかった」という点です。
 もし自分だったら、説得の回数は3回にして「3」の数字がより物語に浸透するのを狙う気がします。
 もしかしたらあの「説得」という行為自体が別の「3」に含まれている可能性もありますが、ピヨヒコにはそこまで見抜けませんでした。

 また、「この優れた古典に唯一の疵として印象を残す一連の記述」がどこを指しているのかはっきりとは言い切れませんが、今回自分は「最後にいきなり出てきたハンスが富あたえてるのは何なの」という違和感のことを言ってるのかなーとか思いました。これは3では説明できませんね。


 
 とか色々書いてきましたが、全体を通して面白く、読み手を思索へ促す良作です。
 童話・神話に詳しい人が読んだらきっと別の印象を受けるはず。
 ぜひぜひ読んでみてください。


 それでは長いこと失礼しました。考察はほとんど思いつきなのでめちゃくちゃなのはご勘弁下さいな。

今年もよろしくお願いします。

こちらのブログではお久しぶりです。
ピヨヒコです皆様お元気でしょうか。
気がつけば2012年になっておりまして、去年が三日前とかどういうことなの?と混乱しています。
去年の去年は一昨年らしいです。時のうつろいよ。

さて、本当は2011年のうちに済ませたかったのですが、
自作品のコメント返信をさせて頂きました。

ネジレとヒズミ
稲沢アイラブユー

のコメントを本日分まで御返事させていただいております。
ものすごく今更感がありますが、コメントのひとつひとつに本当に元気をもらっているので、遅ればせながらお返事を書かせてもらいました。


思えば2011年はネジレとヒズミの完結、稲沢アイラブユーの開始、電極女の絶え間ない放電の開始、遅筆友の会企画と、なんだかんだで色々と書いていたような気がします。
さらに漫画ではへのへのもへ子。の連載開始があったり、がっつりと作った印象でした。
そのどれもが楽しく難しくたまに苦しく、それでも信じられないほど魅力的でした。

今ちょっと更新が遅れておりますが、必ず更新しますのでお待ちいただけたらなと思います。
最後になりましたが、昨年は各方面で大変お世話になりました。
僕の作品を読んでくださった方を始め、FAをくださった皆様、もへ子でがっつりとぶつかってきてくれたハトヤ先生、遅筆友の会企画を取りまとめてくださったところてん先生、本当にありがとうございました。
今年もよろしくお願いします。

2012年は2011年より数字がいっこ多いので、きっと楽しい年になるよ。

電極女の絶え間ない放電

おひさしぶりです。ピヨヒコです。
文芸新都にて新連載『電極女の絶え間ない放電』がスタートしております。
そして本日二回目の更新。女の子が出てきたよ!

コメントいただいているように文章の「重さ」とか「密度」とかを意識して書いてます。
あと物量。今までの短編よりももうちょっと物のリアリティみたいなのが出せたらな。
ただそこを意識しすぎて読みづらさの方が多くなったら本末転倒なので、
良い距離感を見つけられたらなと思います。

もうしばらく続くのでお楽しみいただけたら幸いです。
それでは次回更新時にお会いしましょう。
早く秋になると良いのに。

へのへのもへ子。

お久しぶりです!
本日、別冊少女きぼんにて『へのへのもへ子。』の連載がスタートしました!
http://neetsha.jp/inside/main.php?id=11355
これこれ。

作画のハトヤ先生はこれが新都社デビューですのでひとつよろしくお願いします。
さっそくたくさんコメントをいただけて嬉しいです。
ちょっとした夢だったHotItems入りも果たしほくほくでした。

もへ子は合作なのですが、
ピヨヒコが完全にひとりでお話を作っているわけではなく、
ハトヤ先生といっしょにストーリーも作っています。
なので一言で原作ピヨヒコ!って感じではないのです。
ふたりして唸りながら作ってますので今後ともご期待ください!

それではよろしくお願いします。
もへ子はかわいい。超かわいい。

凪に紫煙更新しました。これで完結。

お世話になっております。ピヨヒコでございます。
短編集『稲沢アイラブユー』にて『凪に紫煙』を公開しました。

今までの短編は、特に『すごく残酷』や『散る埃』でやっていたように、
ものすごく限定した空間で発生したものを切り取って書いていたのですが、
『凪に紫煙』ではその狭さから飛び出してみたくなったのです。
もうちょっと人が生きていそうな世界を書いてみたかった、というと気取りすぎですね!

ちょっと長いけど読んでいただけると嬉しいです。
今回の短編、22000文字で構成されております。
今までだいたい8000字で短編を書いていたので約3倍の長さでした。
産みの辛さは30倍でした。でも書いててすっごい楽しかった。
文芸カタログで指摘してもらった箇所も気に留めて書いてみたよーん。

毎回似たようなこと言ってますが、
誰かの心に何かが届いていたら嬉しいです。
あとは凪に紫煙が勝手に歩いていくので僕はここからにやにやしながら見送りますね。

さて!
稲沢アイラブユーですが表紙と!サムネと!ランダムトップ絵を頂きました!
超絶クオリティ表紙すごい。
どこか昭和レトロな雰囲気漂うレコードジャケットのような一枚です。
じっくり見ていただくと、所々に稲沢っぽさが滲み出ているのですよ!
ランダムトップは申請中です。こちらもすごく素敵な絵。
はやくトップに載ってるところを見たいです。

相変わらずとりとめもねー感じでしたがこれで失礼します。
それでは次回作でお会いしましょう。
ごきげんよう!

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